2015年05月23日

ザ・死後の世界(中)

ベナンです!

引き続き死後の世界についてです。

今回ご紹介するのは愛知学院大学の伊藤雅之准教授の『若者の死生観−日本人大学生が抱く死と死後のイメージ−』(2007)という論文です。

伊藤氏はこの論文の中で日本の若者の死生観には次の五つの特徴があると指摘しています。



@死後の世界観の流動的性質
 
 数週間前のアンケートでは死んだら生まれ変わると思うと回答した学生が、二回目のアンケートでは死んだら無になると回答。

 理由を聞くと最初のアンケートの時はたまたま輪廻に関するTV番組を見ていたため、それに影響されたとのこと。

 つまり、若者の持つ死後の世界のイメージは流動的で、コロコロと変化しやすいものであることが分かります。



A家族による死後のイメージの定着
 
 家族とのやりとりの中で「死んだら天国に行くんだよ」とか「この子は死んだおじいさんの生まれ変わりだ」などというメッセージが、死生観の形成に大きな役割を果たしているケースも見られます。

 特に祖父母などの年長者の言葉や考え方は重みがあるようです。



B他者の死と自己の生活との乖離
 
 死というものが身近でなく、あまりにも遠い未来の出来事のように感じている若者が多いようです。

 伊藤氏はこれについて、医療が発達する前は死の問題はさまざまな年代の人々に広がっていたものの、平均寿命が延びて死者が高年齢層に限定されてきたためではないかと分析しています。



C親密な他者としての死者

 若者たちにとってお墓参りやお仏壇は供養という感覚は薄く、悩みを報告したり願いをかなえてもらう機会になっているようです。

 さらに死後の世界を信じない人々も実践しているというのも大きな特徴と言えるでしょう。



D死別体験のタブー化

 死について語ったり、質問することはどことなくタブーのように感じ、言葉に出しにくいという若者が多いようです。

 「なんで死んじゃったの?」というようなことを聞くことすらもためらってしまい、特に死者が身近な人間であればあるほど、この傾向が強いと分析されています。




どうでしょうか?

あ、確かにそうだなって感じる人もいるかもしれません。

ちなみに、つくば国際大学でも大学生の死に対するイメージについての調査論文があります。

『看護大学生における死生観と死に対するイメージの学年比較』狩谷恭子,渡會丹和子(2011)では、死への関心の有無、死への関心の時期、死に関心を持つきっかけ、死に対するイメージなどを調査しています。

死への関心の有無は90%以上が関心を持つと回答しています。(対象の学生が看護学生というのもあるかもしれませんが)

死への関心を持ち始めた時期として一番多かったのは中学生時で、次いで小学生時、高校生時となっています。

死に関心を持つきっかけは身近な人の死・家族の死がダントツで多く、やはり知人の死が大きな影響を与えるようです。

また、ペットの死を通じて、死に関心を持つ人もわりと多いようです。

死に対するイメージは怖い、悲しいなどネガティブなイメージを持つ人が多いですが、四年生の回答で死に対するネガティブなイメージは一番少なかったそうです。

実習の体験が死を理解し、肯定的に受け止めることにつながっているのではないかと論文では分析されています。

この論文の結びとして、「生についての考え方」はまだ形成途上という結論を出しています。

生についての考え方ということは、つまり人生の意義、価値、目的に関して知るということではないでしょうか?

人生について考えるというのは若い時には難しいことかもしれませんが、しかしより人生を有意義に豊かなものにしていくためにも、人生とは何か?ということについて考えていく必要があるのかもしれません。



さて、今回は死後の世界とは少し離れてしまったかもしれませんが、次回は死後の世界の探求史についてみていこうと思います。


posted by chu-o at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 自由研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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