2012年10月19日

妖怪カウンセラーL〜O

秋の夜長に、今日も愉快な妖怪たちが集う・・・・・・。



「妖怪カウンセラー」

作:やくも


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ケースL「猫の恩返し」

所長
じゃあミケくんは、ずっと人探しの旅をしているわけですか?

ミケ
おうよ!俺がバケネコになるずっと前、まだ子猫だった俺を優しく看病してくれたあの人に恩返しするのが俺の夢さ!

助手
いい話だなあ。猫の恩返しってわけだ。

所長
ちなみに探す手がかりはちゃんとあるんですか?

ミケ
手がかりは二つ・・・あの優しい瞳とぬくもりのこもった手・・・この二つだけは片時も忘れたことはないぜ!

助手
それ、手がかりじゃなくて思い出だよ。


ケースM「スイトン」

子分
兄貴ィ、こんな田舎まで来て、何を狙おうってんですか?

ハンター
スイトンだ。

子分
スイトン?

ハンター
俺も詳しくは知らんが、この地域ではご当地キャラクターとしても有名な妖怪らしい。

子分
なるほど!そこに目をつけたってわけっすね!さすが兄貴!

ハンター
情報によれば、なんでもハローキティともコラボしてるって噂だからな。女子供向けに高値でさばけるんじゃねーかと踏んでいるだが・・・っておい、聞いてんのか?ん?

(後ろを振り向くが、子分の姿が消えている)

ハンター
・・・どこ行きやがった、あいつ?

スイトン
(ハンターの背後にそーっと忍び寄りながら)すい〜・・・。

ハンター
!?

スイトン
とん。

(ちょうどそのころ、妖怪カウンセラー事務所にて)

助手
先生、スイトンって妖怪ご存じですか?

所長
いや、聞いたことがないな。

助手
岡山県の蒜山高原(ひるぜんこうげん)に出没する妖怪で、なんでも、すい〜と後ろから忍び寄って、背後にとんと立つのでスイトンっていうみたいです。

所長
変わった名前だねえ。それで、後ろに忍び寄ってスイトンは何をするんだい?

助手
その人間を切り刻んで食べるそうです。

所長
切り刻むのかい!?なんて物騒な・・・。

助手
といっても、スイトンが襲うのは心の悪い人間だけらしいんですけどね。なので、蒜山には悪人がいませんよ、っていうオチの話なんです。

所長
そりゃまたブラックな話だねえ。知らずに蒜山に行った悪人は気の毒だなあ。

助手
まったくです。


ケースN「メリーさん受難」

不良A
ねえ、君こんなとこで何してんの?

メリー
え・・・なんでだっていいじゃない。

不良B
ダメだなあ、こんなカワイイ女の子が夜道を出歩いちゃあ。

不良A
俺たちとさ、あっちでいっしょに遊ばない?

メリー
遊ぶって・・・な、何する気よ?

不良B
決まってんじゃん。いいコトだよ。いいコト。

メリー
う・・・ヤ、ヤバい・・・。

息子
あのー、すいませーん。

不良A
あ?なんだよガキ!うるせんだよ!

息子
すいません。でも、お兄さんの髪型すごくカッコいいなあと思って。けっこう時間かけてセットされてるんですか?

不良A
え?お、おう。まあな。これ自分でもけっこう気に入ってんだよ。

息子
お似合いですよ。だから、カッコいいお兄さんが夜道を歩く女の子にちょっかいを出すのはどうかなーって思うんですけど。

不良B
うっせんだよガキ!あっち行かねえとぶん殴るぞ!

不良A
そうだなー。ちょっかい出しても仕方ねーしな。おい、もう行こうぜ。

不良B
は?何言ってんだよ、お前!?

不良A
いいから行くぞ!ほら早く!(不良Aが不良Bを引っ張って退場)

息子
相手をおだてて操る能力か・・・便利だなあ、これ。(一枚のカードを見る)

メリー
どうなってんの?

息子
気になりますか?これが種明かしです。(『ムラサキノメガネ』のカードを見せる)

メリー
封印札?ってことはあなた・・・。

息子
超常現象課の者です。妖怪の方ですよね?もうご安心下さい。

メリー
あー、助かった。これから大切な用事だったのよ。

息子
大切な用事?

メリー
ええ、私をバカにした子供のところに行って、呪いをかけてやるつもりで・・・。

息子
ちょっと署までご同行願いますか?


ケースO「女心と秋の空」

(喫茶店にて)

花子
タイアップ?

舟幽霊(ふなゆうれい)
うん。ちょっと前に所長さんにアドバイスされたの。最近「ひしゃくをくれ〜」て言っても、誰もくれなくなっちゃって・・・。

花子
だって舟ちゃんにひしゃくあげたら、それで海の水をくんで船沈めてくるじゃん。

舟幽霊
まあ、そういう仕事だから。で、ひしゃくをくれない場合、昔だったら無理矢理奪い取ってたんだけど、いまどきそんな無茶なことできないでしょ?警察に通報されてもマズいし・・・。

花子
マズいと思うよ。この前警察の捕り物にでくわしたんだけどさ、一反木綿が秒殺だったからなあ。

舟幽霊
本当に?じゃ、あたしだったら瞬殺だよ。

花子
同感。

舟幽霊
だから、今の時代はもっと人間社会と調和していく必要があるわけよ。

花子
それで地域の観光業界とタイアップってわけ?

舟幽霊
ピンポーン!あらかじめ「この海域には舟幽霊が出ます」ってことでツアーをくんでいけば、あたしは堂々と船を沈めることができるってわけ。もちろん、ツアー客はライフジャケット着用だから誰も死なないし。

花子
問題はみんながそんなツアーに参加したいかどうかだけどね。

舟幽霊
でも一応、「うちの町に来てください!」っていう誘致の話はもう来てるんだよね。

花子
え、もう!?すごーい!!

舟幽霊
それも結構な数でさあ、意外と妖怪で町おこしって人気があるみたいなの。

花子
へえー。鳥取の境港(さかいみなと)みたいな成功例があるからかなあ。

舟幽霊
花ちゃんもタイアップしてみたら?

花子
えー、あたしじゃ無理だよ〜。ブーム過ぎちゃったし・・・。

舟幽霊
何言ってんの!花ちゃん知名度すごいんだから、絶対人気出るよ!

花子
そ、そうかな・・・?

舟幽霊
そうだよ!もっと自信持って大胆にいかないと!あ、例えば思い切って、大手のトイレ会社とタイアップしちゃうとか!!

(数日後。妖怪カウンセラーの事務所にて)

舟幽霊
(涙目で)・・・それから口をきいてくれないんです。

(所長と助手、顔を見合わせてため息をつく)

助手
女心と秋の空・・・。

所長
・・・難しいもんだねぇ。


























(おまけ)

スイトン
す、すい・・・とん・・・。(大地に倒れるスイトン)

子分
や・・・やったすね、兄貴!俺たちスイトンに勝ったんすね!

ハンター
まあな。ちょっと危なかったが。

子分
(泣きながら)うう・・・あ、兄貴がいなかった今頃俺なんかあの世行きですよ。で、でも兄貴はどうやってスイトンの攻撃を見切ったんっすか?

ハンター
後ろからの攻撃には前に一度やられたことがあってな。でも、俺は二度も同じ手は食わねえ主義だ。

子分
すげえ!兄貴ヤバいっす!カッコいいっす!最強っすね!

ハンター
いくら強くてもよ、こんな物騒なバケモノ、売り物にならねえよ。さっさと帰るぞ。

子分
トホホ・・・くたびれもうけってやつっすか。

ハンター
この仕事にゃよくあることだ。いちいち気にすんな。うまいもんでもおごってやるからよ、元気だせや。

子分
マジっすか!俺ジャージー牛のソフトクリームがいいっす!

ハンター
バカ野郎!ガキじゃねーんだぞ!ソフトクリームなんざ食ってられっか!ホルモンうどん食いに行くぞ!

子分
え!あの有名なB級グルメのホルモンうどんっすか!?ちゃんとチェック済みとはさすが兄貴!一生ついていきます!

ハンター
けっ、勝手にしろ。

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たぶん、続く。


posted by chu-o at 09:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 中央のネタ帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする